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染色加工いろいろ

趣味でなく、工業的に行う染色加工に関することを書いています。

繊維製品の試験について4

繊維製品の試験

染色堅牢度について

 衣服、インテリア、車の内装等、身近にある繊維製品は、ほぼ全て染色、もしくはプリントされていると言っても過言ではありません。例外的に生成り(キナリ)と言う素材の色をそのまま生かす物がありますが、より生成り感を強調するため少し色をつけたものも生成りと呼ばれるため、生成り=染色していないという訳でもありません。

 そういった染色物の色落ちの度合いを評価するのが染色堅牢度試験です。

 代表的な項目として洗濯堅牢度、耐光堅牢度、汗堅牢度、摩擦堅牢度があります。

 洗濯堅牢度は文字通り洗濯でどの程度色落ちするかの試験で、試験対象の色落ちの度合いを変退色、その色落ちが一緒に洗濯した他の生地をどのくらい汚してしまうかを汚染といい、それぞれ等級で表します。等級は物性試験のところで書きましたが、1級(不良)から5級(良)まで半級づつ9段階で表します。

 耐光堅牢度は光を決められた時間照射し、どの程度退色するかを見る試験で、汗堅牢度は人工的に配合した汗試験液での退色、色落ち、摩擦堅牢度はこすった際の色落ちを見ます。

 その他にはポリエステル素材に適用される昇華堅牢度、水着等に用いられる塩素処理水堅牢度、ドライクリーニング堅牢度、スポーツ衣料で重視される汗耐光堅牢度等があります。

 基準としては変退色4級、汚染3-4級以上が一般的なところです。

繊維製品の試験について3

繊維製品の試験

物性試験の項目と基準の一般的な例を示します。

項目

素材

用途

基準

寸法変化

織物及びレース

外衣類、中衣類

±3%

下着類

±5%

ニット及び編みレース

外衣類、中衣類

+3%~-6%

下着類

+5%~-5%

引き裂き強さ

織物及びレース

外衣類

10N以上

中衣類、下着類

7N以上

破裂強さ

ニット及び編みレース

外衣類

500kPa以上

中衣類(毛製のもの)

300kPa以上

中衣類(その他)

400kPa以上

下着類

300kPa以上

引張り強さ

織物及びレース

質量が200g/㎡以上

200N以上

質量が200g/㎡未満

150N以上

紡毛織物 たて/よこ

 

150N以上/100N以上

スナッグ

 

 

3級以上

ピリング

 

 

3級以上

縫い目強さ

織物及びレース

外衣類

100N以上

中衣類、下着類

70N以上

ニット及び編みレース

外衣類

500kPa以上

中衣類

400kPa以上

下着類

300kPa以上

 

ニットとは編物のことで、よこ編、丸編、経編があり、昔は莫大小(メリヤスと読みます)と呼ばれていました。さて、上の表でスナッグとピリングのみ単位が“級”となっていることに気付いたでしょうか。

 その他の試験は数値で、実際試験して測った値なのですが、スナッグとピリングに関しては試験を行い、発生したスナッグやピリングの状態を標準写真と見比べて等級付けをしています。

 その等級ですが、最も良いものを5級、最も悪いものを1級として、5、4-5、4、3-4、3、2-3、2、1-2、1と半級づつ9段階の等級付けをします。

 この後出てくる染色堅牢度も等級で表すのですが、呼び方が独特で5級は“ごきゅう”ですが、4-5級は“よんてんごきゅう”ではなく、“よんごーきゅう”と呼びます。その他も同様に“さんよんきゅう”“にいさんきゅう”“いちにーきゅう”となります。

繊維製品の試験について2

繊維製品の試験

 まず物性試験についてですが、物性試験とは文字通り物理的な性質の試験で、主に強度を表します。

 試験方法はJISで規定されており、繊維はLですので、“JIS L 1096織物及び編物の生地試験方法”を参照に試験します。

 代表的な項目は、寸法変化、引き裂き強さ、破裂強さ、引張り強さ、スナッグ、ピリング、縫い目強さ…と言ったところでしょうか。

 寸法変化は洗濯した際、生地がどれだけ縮むかという試験で、慣用的に収縮率とか呼ばれる場合もあります。織物と編物、外・中衣類と下着でそれぞれ基準が違います。

 引き裂き強さは主に織物に適用され、生地に切り込みを入れ、そこにどれだけ力を加えると生地が裂けるかを計る試験です。織物はまっすぐ裂けるのですが、編物はきれいに裂けず数値化出来ませんので、イメージとしては風船に生地を当てて、どれだけ膨らますと生地が裂けるかの破裂強さを適用します。

引き裂き強さ、破裂強さ共に生地の強度の指標です。

 引張り強さも生地の強度の指標で、どのくらい力をかけて引っ張ると破れるかの試験です。

 スナッグとピリングは聞き慣れない言葉ですが、飛び出した釘やトゲに衣服を引っ掛けたり、またザラザラの壁等に衣服をこすって、糸が飛び出たりしたことは無いでしょうか。この現象をスナッグと呼びます。またピリングとは毛玉のことで、これらの現象の起こりやすさの試験です。

 縫い目強さは、生地と生地を縫い合わせた際にどれだけの引っ張り力に耐えられるかの試験となっています。余談ですが、基本繊維製品は生地より縫い糸を弱めにし、力を掛けた際に生地が破れるのでは無く、縫い糸が切れるようになっています。

繊維製品の試験について1

繊維製品の試験

 何について書こうか迷ったのですが、繊維製品、糸や布、衣服等の性能の試験法と基準について数回に渡って書いていきたいと思います。

 繊維の試験は物理的な強度を試験する物性試験、色落ち、色あせ等の染色堅牢度試験、有害物質の含有の有無の安全性試験、その他防水性能や撥水性能、通気性、消臭効果、防炎・難燃性試験等があります。

 この中で物性試験、染色堅牢度試験、安全性試験は繊維製品のスペック、品質をあらわすベーシックな試験であり、ほぼ全ての繊維製品で行われていますので、この3つを中心に説明していきます。

 これらの試験結果は消費者に分かるように表示されることはないのですが、用途に応じ基準をクリアしたものが店頭に並びます。しかし主に売り手側、製造側の管理上の都合、不適合品を弾く目的で基準が決められている訳ですから、消費者全てが満足できる品質というわけにもいかず、基準を満たしていてもクレームが発生することがあります。

 衣服は身近すぎて、ブランド名には詳しくても素材や取扱まで知識がある人は意外と少なく、私自身学生時代はウール品を洗濯機で洗濯してはいけないことすら知りませんでしたし、そのあたりもクレームの要因の一つかもしれません。

技術士(繊維部門)について5

技術士(繊維部門)

筆記試験は7月に行われますが、その合格発表は10月です。郵送で送られてくる合否発表に筆記試験合格の場合、口頭試験の日時と場所が記入されています。

 場所は近年ですとほぼ渋谷道玄坂のフォーラムエイトという貸会議室ビルで、11月末から翌1月中旬の内の一日を指定され、日時の変更は出来ませんが、ほぼ土日に行われるようです。

 面接官は繊維部門では2名の場合が多いようで、公表はされていませんが学識経験者(大学教授?)と、経験を積まれた既技術士の方、若しくは官僚の方らしいです。

 口頭試験に際しては、申込書に記入した内容を覚えて経歴を3分程度で説明できるようにし、また業務の詳細について聞かれることが多いので、苦労した点等答えられるようにします。

 その他技術者倫理、技術士法、反倫理的な事例、繊維業界の動向等、30-50問程度の問答集を自分で作りスッと答えられるレベルに持っていかなければ合格は難しいです。

 JTCC受験講座に筆記試験合格者対象の口頭模擬が有りますので、受講を強く勧めます。

ぶっつけ本番では余程場数を踏んでいる方でない限り、なかなか難しいのではないでしょうか。

ちょっと経験が無いのであれですが、口頭で不合格の場合でも救済処置は一切なく、翌年また最初から受けないといけませんので、心が折れる可能性があります。もし筆記試験を合格できたのであれば、口頭試験の準備を死ぬ気でやって、悔いが残らない様にしましょう。

以上、ざっと技術士試験について説明しましたが、経験上独学では余程のレベルでない限り、まず無理だと思います。

技術士(繊維部門)について4

技術士(繊維部門)

 2次試験の勉強法ですが、論文問題は独学ではかなり難しいように思います。うろ覚えではなく正確な知識が無いと、そもそも文が書けませんし、起承転結を意識した技術士にふさわしい文章を書かなければいけない訳ですから。

 過去問の合格レベル回答例を読み込み、記述の仕方や内容を勉強するのが早道と思います。

 論文とは別に2次試験も択一問題がありますが、TESや1次とは違い、えらく難度が高い問題でこれは過去問を繰り返すしか対処法はありません。

 繊維部門はJTCC(日本繊維技術士センター)が受験講座を行っていますので、参加されるのをお勧めします。繊維部門はその受験者数の少なさから、この講座に参加しない限り、恐らく上述の過去問回答例は手に入らないと思います。

 費用がそこそこ(6万~8万ぐらい)かかりますが、何年も試験の勉強をする時間を考えれば高くは無いはずです。繊維部門に限って言えば、合格者のほとんどがこの講座の受講生です。

技術士(繊維部門)について3

技術士(繊維部門)

 2次試験についてですが、まず受験申込書に経歴、どのような経験を積んできたのか記入し、また代表的な実務経験の詳細を720文字以内にまとめて書かなければいけません。

 受験申込書からすでに試験が始まっていますので、例えば“詳細を書く”と上述しましたが、技術士になろうとする者がITスキルも持っていないのかと思われないよう、パソコンで打つのが無難でしょう。

業務詳細は口頭試験で査問されますので、できれば技術士に見てもらい指導を受けるのが良いと思います。

 また記入した経歴について聞かれる場合がありますので、経歴を詐称したり、盛ったりするのは止めておいたほうが良いです、ボロが出れば取り返しがつきません。書いた内容が自分で読んで乏しいのであれば、まだ技術士になる段階ではありません、経験を積んで下さい。

 2次試験は1次と違い、その難易度は段違いで、試験自体も申込みが4月、筆記試験7月、筆記試験合格発表10月、口頭試験12月、最終合格発表3月と丸1年続きます。

 試験のことが頭の片隅に常にある1年間を過ごす覚悟を持って望まなければならず、結構しんどいです。しかも難易度的に1回目で合格できるとは限らず、実際私も初回は筆記試験不合格で、2回目で口頭含め合格したのですが、仕事をしながらの勉強はかなりきついものがありました。