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染色加工いろいろ

趣味でなく、工業的に行う染色加工に関することを書いています。

技術士(繊維部門)について2

技術士(繊維部門)

 技術士になるためには、1次試験を合格、もしくはJABEE認定の学校を卒業し、7年以上の実務経験を経て2次試験を受験、合格しなければいけません。

 大学院卒であれば最大2年実務経験に含むことができるとか、技術士指導の下での実務経験であれば4年以上とかありますが、単純作業やOJT等は技術士になるにふさわしい実務経験にカウントされませんので、通常ですと入社約10年以降、年齢では30代半ば以降での受験になります。

 しかし中には大学院2年と、技術士の下での経験2年をもって20代で取得する優秀な人もいるようです。

 またJABEEの場合は別にして、実務経験は1次試験合格以前でも構いませんので、実務経験のある人は1次合格後、即2次を受験できます。

 1次試験の内容は大学レベルの自然科学知識、受験部門の知識、技術者倫理となっています。

 自然科学と技術者倫理は書店で売っている本で対処できますし、受験部門の基礎知識は繊維部門であれば、TESと同等か若干難しい程度です。各50%以上の正解で合格ということもあり、私自身もちろん勉強はしましたが、試験で苦労した、難しかった等は特にありません、試験が朝から夕方まで丸一日で面倒だったことは印象にあるですが。

ちなみに私の試験結果は適正科目15/15、専門科目44/50、基礎科目11/15でした。

 基礎科目の点数が若干低いのは、50%以上で合格のため、苦手な物理を捨てて全然勉強しなかった為です。適正科目が満点ですが、これは普通免許のように常識問題だったのと、この年は簡単だったため、ほぼ全員満点だったのでしょう。

1次試験に合格し、指導技術士がいれば技術士補になることができますが、申請しない人がほとんどです。あくまで2次試験を受験する為の必要条件といった位置づけです。

技術士(繊維部門)について1

技術士(繊維部門)

技術士とは、国によって科学技術に関する高度な知識と応用能力が認められた技術者で、科学技術の応用面に携わる技術者にとって最も権威のある国家資格です。と定義されています。(技術士会HPより)

但し業務独占資格ではなく、あくまで名称独占資格であるため、取得することで食べていける資格というものではありません。(事実上業務独占となっている部門もありますが、繊維部門は特にそういったものはありません。)

 繊維関連の資格では、まず繊維製品品質管理士があり、これは学生や営業畑の人でも頑張れば取得できますが、技術士は技術経験が無ければ取得は無理です。

 各々の得意分野や経験値、見識、その年度の問題との相性運もあり、数値化するのが難しいのですが、繊維製品品質管理士の難易度を5とすると、技術士1次が4-6、2次が20-30といったところでしょうか。

 部門の中に科目があり、繊維部門ですと、1紡糸・加工糸の方法及び設備、2紡績及び織布、3繊維加工、4繊維二次製品の製造及び評価、の4つのうちから選択します。

2018年度より、繊維部門は上記の1と2、3と4が統合されて2科目となり、2次試験については択一が廃止され全て論文形式になるようですので、難易度が上がることが予想されます。

 

機能加工8

機能加工

機能加工にはその他ポリエステルの減量加工、濃染加工、綿のシルケット加工、生地とフィルムを貼り合わせるラミネート加工、生地と生地を張り合わせるボンディング加工、近年良く見られる様になった冷感加工、温熱加工、最近では花粉対応等様々あります。風合いと吸水、撥水性はすべての機能加工において確認しなければいけません。

 あとは色目でしょうか、後加工で色が変化するのはよくあることで、機能加工を1工程増える程度と考えるのではなく、最終製品をイメージして工程設計を行うことが重要です。

 機能加工について代表的なものは挙げたつもりです。

細かく上げるときりがありませんので以上にして、次回より技術士試験(繊維部門)について書いていこうと思っています。

機能加工7

機能加工

防炎・難燃加工

まず防炎と難燃の言葉の違いですが、適用される法律の違いだったと思います、建築法、消防法等。 

 防炎・難燃加工はいわゆる繊維資材によく施される加工で、公共施設のカーテンやカーペットは防炎加工品でなければいけませんし、車の内装に使用される繊維、例えば天井材、シートベルト等は難燃加工をしなければいけません。

 また表面フラッシュ現象というものがあり、これは紡績糸使いや起毛加工で生地表面が毛羽立っている時、一部分が火に触れた場合でも、毛羽に火が走り全体が燃える現象のことですが、この表面フラッシュが懸念される場合、衣料品にも難燃加工が必要です。

 素材によって加工は違うのですが、例えば綿であればリンやハロゲンを含む加工剤で処理、ポリエステルはリンやハロゲンを含む化合物を糸に練り込むか、後加工で付与、ウールはジルコニウムチタニウムの錯塩を結合等です。

 

機能加工6

機能加工

帯電防止加工

 疎水性の繊維、ポリエステルやアクリルにほぼ必須で行われる加工です。これは製品になった際の静電気防止の意味合いもありますが、生地が帯電すると加工時、ロールに巻き付いて事故になったりしますので加工上の都合もあります。

 加工場では界面活性剤を使用しますが、導電糸を使い素材から防ぐ方法もあります。

スリップ防止加工

 名前だけ聞くと滑りくくする加工のようですが、縫目で糸が滑って穴があいたり、生地が目寄れするのを防ぐ加工のことです。紡績糸より滑りやすいフィラメント糸の織物に発生しやすく、特に減量加工したポリエステルは要注意です。

 樹脂加工で交錯点を固めたり、シリカを表面に付着させたして防ぎますが、風合変化に注意が必要です。

機能加工等5

機能加工

抗菌防臭加工

 繊維上の菌の増殖を抑制し、防臭効果を示す加工。近年需要が増えており、衛生加工とも呼ばれています。消臭加工というものもあり、匂いにはタバコ臭、加齢臭、汗臭等ありますが、全てに対し有効と言うのものでは無く、鍵と鍵穴の関係のように、それぞれ対応した薬剤が有ります。

 抗菌防臭、制菌、抗カビ等の衛生加工には、繊維評価技術協議会が認証するSEKマークという性能と安全性が確保されていることを客観的に評価する制度があります。

 SEK青マーク(抗菌防臭加工)、橙、赤マーク(制菌加工)等があり、このラベルの付いた製品は製造元ではなく、第三者の評価ですので信頼がおけるということになります。

 まあこの認証にはコストと時間が掛かりますので、青マーク相当の抗菌防臭加工等で進めることも多く、日本製であればマークがない場合でもそれなりに性能は担保されているのではないでしょうか。

機能加工等4

機能加工

 起毛加工について

 起毛加工は秋冬用衣服用途であったり、マジックテープのループ側等様々な用途に使用される汎用性の高い加工となっています。

 昔は刺々のあざみの実を使用していましたが、現在は一部高級品に使用されているぐらいで、主流は金属針を使う針布起毛と紙やすりを使用するエメリー起毛の2種です。

 起毛した後、ロータリー刃で狩り揃えるシャーリングという加工もあり、それらを組み合わせたり、何回も起毛したりして様々な表情の生地を作ります。

 起毛加工はどの様な織編物にも適応できるわけでは無く、生機の設計段階から起毛用の生地を作らなければいけません。密な生地ですと紙やすりで擦ったピーチスキン程度にしか出来ず、ベロア調、ループ起毛等、毛足の長い起毛には絶対になりません。また起毛するということは、糸を引き出すということですので、起毛程度にもよりますが、生地巾がかなり狭くなります。