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染色加工いろいろ

趣味でなく、工業的に行う染色加工に関することを書いています。

繊維製品の試験について4

染色堅牢度について 衣服、インテリア、車の内装等、身近にある繊維製品は、ほぼ全て染色、もしくはプリントされていると言っても過言ではありません。例外的に生成り(キナリ)と言う素材の色をそのまま生かす物がありますが、より生成り感を強調するため少…

繊維製品の試験について3

物性試験の項目と基準の一般的な例を示します。 項目 素材 用途 基準 寸法変化 織物及びレース 外衣類、中衣類 ±3% 下着類 ±5% ニット及び編みレース 外衣類、中衣類 +3%~-6% 下着類 +5%~-5% 引き裂き強さ 織物及びレース 外衣類 10N以上 中衣類、下…

繊維製品の試験について2

まず物性試験についてですが、物性試験とは文字通り物理的な性質の試験で、主に強度を表します。 試験方法はJISで規定されており、繊維はLですので、“JIS L 1096織物及び編物の生地試験方法”を参照に試験します。 代表的な項目は、寸法変化、引き裂き強さ、…

繊維製品の試験について1

何について書こうか迷ったのですが、繊維製品、糸や布、衣服等の性能の試験法と基準について数回に渡って書いていきたいと思います。 繊維の試験は物理的な強度を試験する物性試験、色落ち、色あせ等の染色堅牢度試験、有害物質の含有の有無の安全性試験、そ…

技術士(繊維部門)について5

筆記試験は7月に行われますが、その合格発表は10月です。郵送で送られてくる合否発表に筆記試験合格の場合、口頭試験の日時と場所が記入されています。 場所は近年ですとほぼ渋谷道玄坂のフォーラムエイトという貸会議室ビルで、11月末から翌1月中旬の内の…

技術士(繊維部門)について4

2次試験の勉強法ですが、論文問題は独学ではかなり難しいように思います。うろ覚えではなく正確な知識が無いと、そもそも文が書けませんし、起承転結を意識した技術士にふさわしい文章を書かなければいけない訳ですから。 過去問の合格レベル回答例を読み込…

技術士(繊維部門)について3

2次試験についてですが、まず受験申込書に経歴、どのような経験を積んできたのか記入し、また代表的な実務経験の詳細を720文字以内にまとめて書かなければいけません。 受験申込書からすでに試験が始まっていますので、例えば“詳細を書く”と上述しましたが…

技術士(繊維部門)について2

技術士になるためには、1次試験を合格、もしくはJABEE認定の学校を卒業し、7年以上の実務経験を経て2次試験を受験、合格しなければいけません。 大学院卒であれば最大2年実務経験に含むことができるとか、技術士指導の下での実務経験であれば4年以上と…

技術士(繊維部門)について1

技術士とは、国によって科学技術に関する高度な知識と応用能力が認められた技術者で、科学技術の応用面に携わる技術者にとって最も権威のある国家資格です。と定義されています。(技術士会HPより) 但し業務独占資格ではなく、あくまで名称独占資格であるた…

機能加工8

機能加工にはその他ポリエステルの減量加工、濃染加工、綿のシルケット加工、生地とフィルムを貼り合わせるラミネート加工、生地と生地を張り合わせるボンディング加工、近年良く見られる様になった冷感加工、温熱加工、最近では花粉対応等様々あります。風…

機能加工7

防炎・難燃加工 まず防炎と難燃の言葉の違いですが、適用される法律の違いだったと思います、建築法、消防法等。 防炎・難燃加工はいわゆる繊維資材によく施される加工で、公共施設のカーテンやカーペットは防炎加工品でなければいけませんし、車の内装に使…

機能加工6

帯電防止加工 疎水性の繊維、ポリエステルやアクリルにほぼ必須で行われる加工です。これは製品になった際の静電気防止の意味合いもありますが、生地が帯電すると加工時、ロールに巻き付いて事故になったりしますので加工上の都合もあります。 加工場では界…

機能加工等5

抗菌防臭加工 繊維上の菌の増殖を抑制し、防臭効果を示す加工。近年需要が増えており、衛生加工とも呼ばれています。消臭加工というものもあり、匂いにはタバコ臭、加齢臭、汗臭等ありますが、全てに対し有効と言うのものでは無く、鍵と鍵穴の関係のように、…

機能加工等4

起毛加工について 起毛加工は秋冬用衣服用途であったり、マジックテープのループ側等様々な用途に使用される汎用性の高い加工となっています。 昔は刺々のあざみの実を使用していましたが、現在は一部高級品に使用されているぐらいで、主流は金属針を使う針…

機能加工等3

柔軟加工、硬樹脂加工について。 柔軟加工はいろいろな方法があるのですが、薬品を用いて行ったり、PETの場合減量加工を行ったりします。また性量をいじって風合を柔軟にしたり、条件設定を見直したり、それらを組み合わせて数値に現れない風合を作るのが加…

機能加工等2

機能加工は染色機で行う吸尽法と、テンター等乾燥設備に付随した設備で行うパディング、又は生地片面に薬剤、樹脂を塗布するコーティングがあります。 ポリエステルのSR加工、防炎加工は吸尽法が向いていますし、樹脂加工は染色機で行う訳にはいけませんので…

機能加工等1

機能加工の中でも基本的な撥水加工、吸水加工について書いていきます。 まず撥水加工についてですが、文字通り水をはじく加工で、更に油分を弾く場合は撥水・撥油加工と呼ばれます。撥水加工はあくまで水を弾く加工であり、耐水圧はありませんので、防水加工…

無題

新年明けましておめでとうございます。 前回から大分間が空きましたが、年末年始進行で書く暇がありませんでした。 繊維関連は相変わらず2018年も明るい話題は特に無いようです。 米大統領選の結果、TPPについても先行き不透明となり、日本製の高機能繊維製…

綿、レーヨン染色について3

反応染めの堅牢度が取れない場合、洗濯堅牢度であれば水洗、湯洗、ソーピングが不十分、または色止剤の種類、量の検討が必要です。現場加工時湯洗、ソーピングの残液の色を確認して、洗い回数を調整するのが常道でしょうか。 反応染料用色止め剤はカチオン性…

綿、レーヨン染色について2

反応染料を用いた染色についてですが、反応染料は湿潤堅牢度良好、色相も鮮明で現在綿、レーヨン染色の主流となっています。 他の染料がファンデルワールス力、水素結合、イオン結合で繊維と結びつくのに対し、反応染料は共有結合のため、理論上はこれ以上の…

綿、レーヨン染色について1

綿、レーヨンは直接染料、反応染料、硫化染料、バット染料、ナフトール染料を用いて染色しますが、浸染において比較的使用頻度の高い直接染料と反応染料について書いてみようと思います。 直接染料についてですが、反応染料が主流の現在、堅牢度があまり良く…

実践編 ポリエステル染色5

ポリエステルの混用品染色 ポリエステルは綿とよく混用され、T/C(ティーシー、テトロン/コットン)と呼ばれます。 混用率は様々ですが、晒色、淡色であれば片側だけ、混用率の高い方を染色します。 色が薄ければ片側だけ染めると無地に見えますので。 濃色…

実践編 ポリエステル染色4

カチオン可染ポリエステル(CDP)繊維について CDPは杢調等の柄を後染めで出すためにポリエステルと混繊、混紡されます。CDP100%で用いられることはあまりありません。名前の通りカチオン染料で染まるよう改質されたポリエステルで、アクリル染めに使用…

実践編 ポリエステル染色3

ポリエステル(以下PET)でよく行われる加工にアルカリ減量加工があります。織編物を減量加工すると交錯点がルーズになり、柔らかな絹様の風合いが得られるため、主に衣料品用途に施されています。また割繊糸を分割する場合にも行われます。 加工は95-98℃水…

実践編 ポリエステル染色2

分散染料は淡色用、中濃色用、濃色用等分子量の大きさで染料が別れており、メーカーにもよりますが冠称に淡色用はE、中濃色用はSE、濃色用はSが付くのが一般的です。 ちなみに他の種属の染料と違い、染着機構から分子量の大きさに制限がありますので、純粋な…

実践編 ポリエステル染色1

ポリエステル染色 ポリエステルの染色には分散染料を用います。 分散染料は水に不溶性のため、洗濯堅牢度は比較的良好で、よっぽど濃色にしないかぎり問題になることはまずありませんが、一方昇華堅牢度に注意が必要です。 染色温度は130℃が一般的ですが、極…

実践編 ナイロン染色3

ナイロン染色の手直しについて 染めムラ、色違い等で再加工をしなければならない場合、減色若しくは脱色を行い再染色します。 脱色はあまり行われず、減色して他の濃色等にするのが一般的です。 アルカリ浴でノニオン又はカチオン均染剤を用い、染色温度で処…

実践編 ナイロン染色2

ナイロンとよく混用される素材にポリウレタンがあります。ポリウレタンを混用、ストレッチ性がある生地をスパンデックスと呼び、例えばナイロンとポリウレタンの場合、ナイロンスパンと呼ばれたりします。 ポリウレタンの混用率は約5%~30%程度で、ポリウ…

実践編 ナイロン染色1

染色全般 実用編1 素材毎に使用する染料は違います。 主な素材について下記の表に示します。 酸性染料 含金染料 直接染料 反応染料 バット染料 分散染料 塩基性染料 硫化染料 カチオン染料 ウール ◎ △ ◎ △ ナイロン ◎ ○ ○ △ シルク ◎ ○ ○ △ 綿、麻 ◎ ◎ ◎ △ …

繊維製品品質管理士(TES)について 5(終)

資格取得後のメリットについて 繊維製品品質管理士の資格取得で得られるメリットは、TES会に入会でき、様々な行事に参加できることでしょうか。勉強会や見学会、講演会等行われており、参加することで視野が広がりますし、異業種の方との繋がりも持てて有益…

繊維製品品質管理士(TES)について 4

試験全般対策について TESの試験は難易度はそれほど高くないのですが、素材、糸、織編、染色、縫製、流通、販売、試験、品質管理と非常に範囲が広いため、「広く浅く」を意識して勉強しなくてはいけません。過去問で自分の仕事分野外だと、知らない用語ばか…

繊維製品品質管理士(TES)について 3

5.論文対策について 社会及び繊維産業の現状の理解が必要で、読書の習慣がある人が有利な科目です。また厳密には合格していないので違うのですが、繊維製品品質管理士としての考えを記述しなければいけません。 1-4までと違い、ここまですればまあ大丈夫だろ…

繊維製品品質管理士(TES)について 2

4..事例問題対策について 記述式である事例問題は、テキストに目を通すだけで合格するのは厳しいです。 最初は回答例を丸写しでも構わないので、とにかく書いてみることから始めましょう。書いているうちにポイントとなるキーワードに気付くと思います。例え…

染色工程8 排水処理

排水の処理は染色工場において頭を悩ませる問題です。下水を使用するのが簡便ですが、コスト面からは自社で処理するのが圧倒的に有利であるため、廃水処理設備を持つ企業がほとんどです。 染色排水処理において管理する項目は、水素イオン濃度(pH)、生物化…

染色工程7 再加工

染色工程での再加工要因としては、色ブレが最も多いと思います。特に衣料やファンデーションは色相基準が厳しく、なかなか苦労します。昔は染上りの色を見て、色相不良であれば染料を足して修正(シェーディングといいます)が出来る人がいたようですが、現…

染色工程6 染色温度

染色温度は例えばポリエステルの場合130℃、ナイロンであれば100℃が標準なのですが、その温度にいたるまでの昇温速度がムラ無く染めるためには重要です。染料によって繊維に吸着する温度帯が違いますので、その温度帯の昇温速度を下げたり、若しくは一定の温…

染色工程5 染色時間

染色工場においては短納期、加工量アップのため染色時間の短縮化は命題となっています。 品質をキープしながら如何に短時間で加工するか、素材と染料の結合の種類、助剤の効果、生地、それを構成する糸、素材これら総合的な知識が無いと難しいのではないでし…

染色工程4 水素イオン濃度(pH)

染色は素材により染色法が異なりますが、酸性サイドで染色する場合が多いです。 一般に弱酸である酢酸を使用しますが、酸だけですと非常に変動しやすいため、酢酸ナトリウム(酢酸ソーダ)と併用、緩衝液にすることも多く行われています。硬い染料(堅牢度は…

染色工程3 水

染色に使用する水は重要で、水の良い所が染色の産地である場合が多いです。 取水と排水の関係上、染色工場は川沿い、または海の近くに立地していることがほとんどです。 染色において良い水と言うのは軟水であることです。 通常染色工場であれば水は管理して…

染色工程2 染色助剤

以前染色で重要なのは、pH、水、温度の管理と書きましたが、例えば染めムラの懸念が少ないフルブラック(真っ黒)であれば、pH調整用の酸と染料だけで染めることも実際可能です。 通常は生地のシワを軽減する浴中柔軟剤、染料を分散させる分散剤、生地に均一…

染色工程1 染色機

さて、いよいよ染色工程ですが、現在日本の染色工場において、主流の染色機は液流染色機になるかと思いますので、それをメインに書いてみよう思います。 液流染色機は揉み効果による風合いの良さ、浴比の低さ(浴比とは生地重量と水量の比率のことで、生地重…

準備工程

ここからは現場での実加工になります。 染色工場における準備工程とは、ロール状あるいは畳まれた生地を加工し易いように、受け箱に振りわける開反作業、また加工ロットの長さにするため、複数反を縫い合わせる結反が代表的です。また生地が染色工程の熱で縮…

染色レシピ作成

染料配合が決まれば、設計図にあたる作業標準書(染色レシピ)を作成します。 ポイントは繰り返しになりますが、複雑にしすぎないことでしょうか。 よくやりがちなのですが、現場で出来ない、やりづらいことは極力避けねばなりません。 例えばシワになりやす…

繊維製品品質管理士(TES)について 1

少し染色から離れて繊維業界で比較的取得者の多いこの資格について書いてみようと思います。 繊維製品品質管理士とは繊維関連の資格で、名刺に書いておけばある程度知識があるレベル(中級者)と認識してくれるはずです。難易度は私見ですが簿記2級程度だと…

色出し、色合わせ4

試染を繰り返し目標色サンプルが染め上がってもそこで終わりではありません。 現在の日本の染工場では色は出せて当たり前、後加工での付加価値が求められることが多いからです。 例えば起毛加工では濃度アップに加え、影が出来ますのでくすみが増しますし、…

色出し、色合わせ3

実際に現場で加工する際は1ロット100kg~200kg染色するものを、試染では10gですから、約1万分の1にスケールダウンしている計算になります。 そこで重要なのが試染の際の計量作業です。 化学系の学校を出られた方は操作の基本を学んでいますので問題ないは…

色出し、色合わせ2

さて、1ではあえて書きませんでしたが、色出しで最も難しいのは白と黒と言われています。 特に黒は難しく、本当かどうかはさておき、最高の黒は黒電話の黒色とトヨタクラウンの黒色と昔聞かされました。 それはともかく、黒といっても大きく分けると黄味の…

色出し、色合わせ1

素材を確認し、染料を選択、染色条件を決めれば、実際に試験染め(試染)し、染料の配合を決定します。 CCM(コンピュータカラーマッチング)で染料配合を計算させ、その数字で染めたものを測色、補正計算させて染める…の繰り返しで色を合わせる方法もありま…

色出し、染色条件の設定

染料を選択したら、次に染色条件を設定します。 その染料メーカーの推奨条件が染料カタログ、カラーチャート、技術資料等に書いてありますので、そのとおりにすれば間違いありません、と言いたいところですがそうもいきません。 仮にその通り行いトラブルが…

色出し、染料の選択について

染料の選択時、演色性、堅牢度(色落ち等に耐える強さ)、染めやすさ(堅牢度と反比例することが多い)、そしてもちろんコストを勘案しなければいけないのですが、通常の色物であれば3原色である黄、赤、青の染料の3種類の組み合わせ、つまり染料を3つ選…